
気温や湿度にあわせて原料を配合し、機械はあくまで手作業の補助として使う。型に通したり、包丁で切る麺とは違い、手で延ばすことで1ミリ足らずの麺に仕上げていく手延べそうめん。まる36時間かけてつくるその工程ひとつひとつに、老舗山本だけに伝承される昔ながらの技が生きています。

- なかだて
- 小麦粉をこねるための塩水をつくります。ミネラル豊富な塩を配合。塩と水の配合は天候などに合わせて変えていきます。

- こね・団子ふみ・いたぎ
- 小麦粉を塩水でこね、昔ながらの「団子踏み」の要領でのし餅状にした後、渦巻き状に切り目を入れ、帯状にします。

- 油がえし・ ほそめ・こより
- 帯状にした後、麺の乾燥と 付着を防ぐために表面に綿実油を塗り、撚(よ)りをかけながら、少しずつひも状に 延ばしていきます。

- かけば
- 細くした麺に撚りをかけながら2本の管に8の字にかけた後、室(むろ)と呼ばれる箱に入れて熟成させ、さらに麺を良い状態にしておきます。

- こびき
- かけばを終えたひも状の麺を約60cmまでのばし、室(むろ)と呼ばれる箱に入れ、じっくりと熟成させます。

- かどぼし
- 熟成によってしなやかになった麺を機(はた)にかけ、そうめんの細さまで少しずつ引き延ばして、乾燥させます。

- こわり
- 人の背丈よりはるかに高く延ばして乾燥させたそうめんを19cmの長さに切りそろえます。

- 厄ごえ
- この後、木箱に詰められ土蔵で長い期間保存されます。そして、この間に訪れる高温多湿の梅雨 期を越すことにより、そうめんの性質は変化し、いっそう旨みをおびます。このことを「厄をこす」といいます。
手延べそうめんは、11月から3月にかけての寒期に36時間の工程を経て作られます。その後、そうめん蔵に収め保存。これはそうめんが高温多湿の梅雨期を越すことで、コシや風味が高まる効果を利用したもので“厄をこす”といいます。味を大切にした当社の製品は、じっくりと蔵で熟成させ、この夏に二回目の梅雨を越す古物(ひねもの)と、三回目の梅雨を越す大古物(おおひねもの)を出荷しています。